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Ubie 株式会社に入社していた

Published: at 21:31

Ubie 株式会社に SRE として転職して一ヶ月経ったので、転職動機から転職後どうかまで書いてみる。まだ一ヶ月、ではあるが楽しく働けている。

転職動機

前職では SRE として活動し、中心的な業務は基盤的アプローチだった。周囲にいた人は能力が高く、技術に関して尊敬できる人ばかりだった。あるとき、冷静に周りを見ると、自分は技術そのものへの興味は相対的に薄い方だと気づいた。どうすればまず周りの人を良くできるか、そして会社や事業として良くできるか、というような動機や欲求があった上でそれを解決する技術的コミットに打ち込む、のような動き方をしていた。

一方で、どんな状況でも自分の信念により物事を変えてしまう技術力と突破力を備えたエンジニアがいた。技術的な力量や、信頼と実績で周りを圧倒しているように自分には見えていた。それは同じエンジニアの立場の自分から見て、純粋に羨ましかった。自分もそうなりたかった。そんな人が何人もいたので、自分もはやくそうならなければ、という焦りは常にあった。 とはいえ目の前の仕事はこなさなければならない。自分の仕事がどうしたらより事業に貢献できるかを中心に考えていたが、理解が思うように得られない (ように感じる) ところもあり、このままでいいのか自信を失いつつあった。自分が尊敬していたエンジニアのように、技術を絡めて突破できなかったのは単に自分の実力不足だったと今では思っている。とはいえ、事業に対する熱量や感覚のズレが、埋められない程度に大きくなったこともある。もっと自分に適した、もっと打ち込みたいと思える環境も別にあるのではないか。自分を変えるよりむしろ、環境から変えてみるのはどうか。そういう考えを持つようになった。

そんな気づきを得たきっかけには、自分のポジションが変わったことも大きく影響している。結論から言えば、昨今の状況下も相まって、一人で考えすぎてしまったこと。原則リモート勤務になって以降、同部署やグループで集まって中長期的のことを話すオフサイトイベントがなくなった。それだけなく、技術にとどまらない、組織や未来の話をする機会が減ったと感じていた。自分の部署でそうなのだから、余計に他部署に深く切り込んでいくこともうまくいかなかった。周りの応援はあったような気がするが、なんとなく空回りしてるのではないかと思うところもあった。そんな状態がリモートで長く続くと、どこか疲れてしまった。

転職方針

技術は好きではあるけど、より社会的意義を感じるプロダクトに直接的に関わってみたい気持ちを優先した。自分がこれまで経験したことのない環境、自分のできそうな貢献、事業への貢献度合いを考えると、これから伸びていくフェーズの会社で、今のスキルセットを活かせると良いと考えた。 とはいえ新しい生活様式下では、生きた情報を取りに行くのが億劫になりがちで、基本的に受動的なアプローチで転職先候補を探した。というのも、当時自分が行ってみたい && 自分に釣り合う会社というのがあまり思いつかなかった。前職も素晴らしい会社なので、なんらかの側面ではそれを超える候補にしたかった。

選考からオファーまで

Ubie (ユビー) という会社は、インターネットで声をかけてもらってカジュアル面談をして知った。というのは不正確で、社名を見たとき、元同僚の @yohei_kikuta転職エントリを思い出した。それを読み直したあと、すぐ連絡をとってランチに行った。業務ではほとんど関わりはなかったが、会社の TGIF っぽいやつで会話したり、まれにランチに行ったことがあるのでお互い面識はあった。関係性は濃くなかったとはいえ、無職を経て働いている職場は気になり、話を聞いてみたくなった。Ubie の事業の将来性や、ベンチャー的な良い面悪い面を語ってもらったことが印象に残っている。Ubie は働く人の「スタンス」を重視していて、どれだけ専門技能が高かったとしても、スタンスが合わなければ技術以前の選考が通らない、という話を聞いて、どんな感じなんだろうと気になって選考を受けることにした。

スタンス面談では、Ubie の掲げる人材要件をとにかく深ぼられているという感覚があった。予想できなかった質問が飛んできて、その場で頭を使って答えることが何回かあり非常に疲れた記憶がある。準備は職務経歴書を作った以外ほぼ何もしてないので、カルチャーマッチは大丈夫と判定されたのだろう。次に現 SRE (@sakajunquality, @kamina_zzz) と面談した。結果的に、このチームで今のフェーズで働くのは面白そう、と印象に残る面談になった。最後に共同代表との面談。ここでは今までの選考のまとめという感触で、これまでの選考結果にズレがないか確認されている感じがした。その後内定が出て、SRE との具体的な業務内容のすり合わせと、SRE とどう働いているか知るために SWE と話した。これを終えた時点で働くイメージは結構ついていた。最後にもうひとりの共同代表とのオファー面談があり、オファーを受け今に至る。最初のランチ以降、何から何までフォローしてくれた @yohei_kikuta には改めて感謝。

Ubie の魅力

自分が特に良いと感じたところを 4 つにまとめた。

事業とフェーズ

これまで整理がされてこなかった医療データをきちんと整理して、データに基づいたヘルスケア分野のプラットフォームをつくっている。今世に出ている、目に見えるプロダクトには toC 向け受診相談や toB 向け問診支援などがある。医療という分野にはユビキタス性を感じていて、マネタイズも見通しがあって、かつ世界をより良いものにできるだろうという考えがあり、関わってみたい分野の一つだった。既存のプロダクトは今後国内展開がますます増えていくところで、海外展開に向けた PoC も始まっている。 こういう事業とフェーズに一度は関わってみたい思いは前からあった。

ホラクラシー組織

いわゆるマネジメント的な上下関係も存在しない。ホラクラシーという、ティール組織的なフレームワークを採用している。(自分も理解しきれていない部分があり分かりやすい説明を優先する) ホラクラシーでは、個人は特定の目的をもった流動性のあるグループに所属し、目的に関係する意思決定と行動は基本的にグループ内で進める。グループには階層関係があり、親子間では特定の手続きで干渉する。このフレームワークで何が嬉しいかというと、優先すべき課題を見つけたとき、自分で首を突っ込みやすいこと。満足したとしてグループから抜けることもできる。これは Ubie に所属する人が、当事者意識や領域を超えて突破する力がある前提のうえでワークする。また、ホラクラシーのプロトコルだけ覚えておけばどのグループでも通用する。

評価しない

評価制度がない。もちろん給料はとどまることを知らず上がっていってほしいけど、評価されるために働く、というモチベーションはあまりないことに気づいた。前職では評価側になった経験があり、体力的だけでなく精神的にも大変だと感じた。評価は重要なことは理解しつつ、評価期間は業務が進みづらくなるのは確かだ。評価から開放されると、その分事業貢献に集中できる。一方で採用は頑張らないといけないが。自分の場合、前職より給与は上がったうえでストックオプションも付与してもらっている。また、評価は無いが相互フィードバックの運用はある。

経験のない技術やプロダクト

前職では AWS, ECS 上の基盤と Ruby を中心としたバックエンドであったのに対し、Ubie では GCP, GKE/Kubernetes 上の基盤と Kotlin を中心としたバックエンドである。新しく経験できそうなことが多かった。これまで toC 向けサービスの経験しかなかったが、Ubie では toB 向けプロダクトもある。 単純に、経験のない技術に触れるのは面白いことだと自分は感じる。将来のキャリアは正直具体的に考えられてないが、若いうちは幅を広げておいたほうがよさそうな気がしている。特に Web 業界は技術の進歩が早く、メタ的な「学ぶ技術」を磨かないと本質的に良い技術者にはなれないのではないかという思いがある。もし同じような事業やプロダクトがあれば、経験がない方を選びたかった。

転職後の様子

転職してから一ヶ月、実際どんな感じで働いているか。

オンボーディング

初めての転職だったこともあり心配はあった。実際には、組織としてオンボーディングに対する課題感が高まり、プロセス改善が行われたことで、自分が受けたオンボーディングは手厚いと感じた。ここでのオンボーディングとは、主にカルチャー面のことを指す。ただしホラクラシーをはじめとする初めて知る概念は結構あり、咀嚼のための時間は必要ではある。緊急事態宣言の発令もあり、オンボーディングはすべてオンラインで組んでもらったが、特に不都合は感じなかった。 全社的なオンボーディングが終わると、SRE のオンボーディングがあった。オンボーディングといっても、SRE が所属するチームのスクラムに突っ込まれて、オンボーディングっぽいタスクを積んでもらったりそれを消化したりといった具合。例えば、インフラまわり改めて把握するために構成図を書いたり、内部的にどのデータストアにどういうデータがあるかというドメイン知識をまとめることをした。そういうタスクをこなしつつ、同時にアプリログの構造化や削減など普通っぽいタスクもした。

目の前が真っ暗になりかけた様子

チームでの働き方

ワイワイやっていると思う。今のチーム構成は、(フルコミットだと) 自分含めた SRE * 3 と Data Engineer * 2 と SWE * 1。スクラムを実践していて、最低でも毎日話す機会がある。スクラム自体は経験がなかったが、最近型は分かってきた感じ。メンバーはリモート慣れしていて、自分も慣れているため、自分でも意外だがコミュニケーションでそんなに困っていない。ただし分からないことやドキュメンテーションされていないことは多々あり、そういうときはサクッと通話して解決したりしている。情勢が落ち着かないと飲みに行けないことが一番つらい。

仕事の進め方

全社的に OKR を運用しており、クォーターごとに各チームでも全社 OKR にアラインするような OKR を設定する。OKR は変わることが認められており、共同代表とのアラインメントが定期的にある。今の基盤的なチームでも、我々がどう事業にインパクトを与えるのか (もしくはどんなインパクトを求められているのか) が OKR という形で管理されていて、自分たちの仕事がどう貢献できるかを常に考えていられるのは嬉しい。最近は「toB 向けプロダクトのリリースの安全かつ効率化」に関係する KR の先導役をアサインされ、問題をタスクに落とし込んだり How の検討をしている。同期・非同期のツールを使い分けながらプロダクトチームとコミュニケーションもしている。

実力の伴った当事者意識

各メンバーが自分の職能範囲だけでなく、全社的な目線で考えていると感じる。フラットな組織構造や Ubie の求める人材要件、カルチャーも大いに影響しているだろう。未来のことは頭に置きつつ、実際は今はどうなんだっけと振り返る機会が本当に多くて、一人で考えすぎていると感じることは今のところ全く無い。当事者意識があっても問題を発見したり問題を解けないとあまり意味が無いが、採用基準が高いこともあり、実力のあるメンバーが揃っていると思う。と書いても全然伝わらないので、自分含めもっとアウトプットしていなければならない……。

まとめ

いまのところ緊張感がありながら楽しく働けている。Ubie での最優先課題は常に採用なので、自分も頑張らねばという思いもあり、転職について動機からその後も含めて書いた。職種関係なく、興味のある方がいたら気軽に連絡してください。